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人魚になったあの日

「世の中で一番嫌いなものは?」聞かれたら、「雨です。パンチ」と答える可能性が高い。むむっ

しかしながら、旅行から東京へ戻ってきたら、季節は梅雨。
当然ながら、毎日毎日、雨か豪雨か強い湿気の日々が続いている。あうっ

思い起こせば、年頃になりお化粧を始めた頃から、ず~っと雨や湿度の高い日の朝は、気持ちが憂鬱になる。
いや、朝だけではない。
この時期、午後になってから雨が降り始める日だって多いが、そういう時もかなり憂鬱になる。

私の髪の毛はやや天然パーマが混ざっていて、細い髪の毛と太い髪の毛がミックスしたような感じなのだ。
だから、雨や湿気の強い日だと、髪の毛が水分を吸収して、どんなに綺麗にブローで仕上げても、髪の毛がモワーっと広がり、根元がつぶれ、使い古下した掃除用具の"モップ"のようになってしまう。しくしくしくしくしくしく
一言でいうと"ダサイ頭のしょぼい人"という感じだ。

だから、雨が降ってもビクともしない、さらさらストレートヘアーの女性の髪に、心の底から憧れてきた。

過去、今に至るまで、この髪質によってどんなに悲しい?目に会ってきた事か。

今でも憶えている。

関西にある、ある企業の研修に行ったときのことだ。
2日間の研修だったのだが、運悪く2日目は雨となってしまった。
朝起きて、「まずい...がーん」と思ったが、あいにく宿泊しているホテルには、"雨の日用"の"髪の毛対策"の準備をしてこなかった。

仕方ないと思い、必死に髪の毛に手持ちのムースをつけてブローし、身支度を整え、タクシーに乗る時も降りる時も、十分に注意を払い、雨に濡れないようにした。
しかし、、、、豪雨である。
どんなに頑張って傘で雨を防いでも、湿気は既に、空気にも建物の廊下にも研修室にもトイレにも充満していて、まるで湿度95%のような状態。
どうやっても逃げ場はない。しくしく

もうこうなったら覚悟を決めて、どんな髪の毛になろうと、受け入れるしかないと思った。(半ばやけくそである。)
"髪の毛にあまりにも拘るのは自意識過剰な証拠で、私もまだまだ修行が足りないんだわ。私が思う以上に他の人は私の髪の毛のことなんて、気にかけていないはず。"と自らに言いきかせ、切腹の前のような気持ちで研修室に座っていた。(大げさですが)

しばらくして、その企業の人事の課長が担当者と共に、研修室に入ってこられた。
昨日は来られなかったので、時間を少し作って挨拶のため、わざわざ来られたのだと思う。
私は椅子から立ち上がり、丁重に「おはようございます。ご無沙汰しています。」と課長と担当者の二人にお辞儀をして挨拶を交わした。

とその直後である。私が顔を上げると、人事課長がこらえ切れずに笑い声を立てている...。
私の髪の毛を見て、「ヒヒヒ、、、」と笑っているではないか。
そして、「坂東さん、いや~、何だか浜に打ち上げられた、人魚みたいな頭になってますね。」と笑って目尻を下げながら、関西弁のイントネーションで
言った。あうっ

私は思わず回答に詰まってしまった。

なぜなら課長の言葉は、あまりにも的を得ていてドンピシャだったからである。

"人魚"のくだりは、課長なりの女性に対する遠慮と優しさであろうと察する。

確かに私のその時の髪の毛の状態は、既に使い古したモップを通り越して、あまりある湿気のために、ペッタリとおでこと頭部に髪の毛が張り付き(多分ムースを使いすぎたせい)、なぜか髪の毛を洗った直後のようになっていた。
しかも毛束と毛束の間には、地肌が筋になって白く見えている。スイカのような頭だ。

その日の研修中は、とて~も気さくな人柄に変身して、冗談を飛ばしたり、やたらニコニコして対応したと記憶している。
参加者の人たちは、絶対に"変な頭の人"と思っているだろうから、この際笑いを取るしかないと思ったのだ。


雨曇りのち雨雨雷雨[曇りのち雨:雨:]雷[:雨:曇りのち雨]雨雷雨曇りのち雨曇りのち雨雨雨雨雨雨雨雨雨雨雨雨雨雨

そして、今に至るまで、沢山のことにトライしてきた。

梅雨時期になると、

髪の毛が痛まないというストレートパーマにトライし、なぜか顔がまん丸く見えてしまったこともある。
ハードスプレーを髪の毛全体にかけてガチガチに固め、頭をヘルメット状態にしたこともある。(びくともしない)
昔懐かしいソバージュ・パーマをかけて、ウネウネのヘアスタイルもやった。
イベントや会食のある日は、バッグの中にカーラーとドライヤーをバッグの中に入れて持ち歩くこともした。

本当にこの梅雨の時期は、涙ぐましい努力を日々続けてきたと思う。
どんな時だって、人前に出るなら、少しでも女性として美しくありたいと思いますからね。

しかし、人間何度もトライ&エラーを続けていると、新しい解決策を見出すものである。

最近、新しい解決策を見出したのである。
案外自分では気に入っている。

それはオイルを使うこと。(ツバキ油、もしくはオリーブ油)
昔から使われているものだが、盲点だった。ドラッグ・ストアの棚に陳列されているのを見かけたことがあるが、古臭くて近寄らなかったのだ。
これまで使用したことがなかったのだが、使ってビックリ。少ない量のオイルを使うと、髪の毛のスタイルを維持しながら、広がりを押さえてくれる。若干パーマをかけたような感じになるが、髪の毛にツヤもでる。
ハードタイプのスプレーは、実は案外髪の毛を痛めるのだが、このオイルの場合は逆で、使えばツヤだけではなく、髪の毛の養分となり栄養を与えてくれるし、1日中ヘアスタイルも持つ。

出来上がりは100点満点とはいかないが、70点、つまり合格点は出せる感じである。

人間、やっぱり、あきらめてはいけない。何事も努力が必要。むむっ

それにしても、早く梅雨が終って欲しいものである。




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