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ブランドマーケティング

昨日、第2期ワイズサークルの6回目のセッションのテーマは「ブランドマーケティング」

㈱コンプリシティ・オブ・クリエイションの取締役であり文化服装学院の講師も務めている波多野辰美さんと、エムエヌシープランニングの代表の中川紀元さんに、講師として来て頂きました。
(余談ですが、会場に来られた波多野さん、ふと見ると黒く日に焼けた足がニョッキリ、半パンのスーツ姿。齢、60歳になられているとおっしゃってましたが、とてもよく似合ってました)


作れば売れた「プロダクトアウト」の時代から、消費者ニーズに対応する「マーケットイン」の時代に、そしてこれからは「クリエイト・アウト」の時代であるという市場環境の変遷の中で、生き残ってきている身近な「ブランド」の特色を考えることで、ブランドマーケティングとは何かを考えました。

百貨店でいえば「伊勢丹」。
一つの靴売り場で、安い庶民的ブランドのシューズから、プラダの靴まで同じ場所で履いて買うことが出来るのは世界でも伊勢丹だけ。
普通はブランド毎に分かれているけれど、お客様がお買い物しやすいようにという視点で、考えられた売り場になっている。
(そういえば伊勢丹は「売り場」と言わず、お客様視点に立った「お買い場」という表現を使っている)
ちなみに新宿伊勢丹は私の大好きなデパート。2008年のブログにも「新宿伊勢丹」というタイトルで書いたことがあるが、伊勢丹は世界的にも認められた存在らしい。
例えば毎年行われるコレクション(NY→ロンドン→ミラノ→パリ)のランウエイの一番前列の席は、モデルと共に写真が掲載されるフロントローと呼ばれるなかなか手に入らないセレブなシート。
この希少なフロントローのシート、伊勢丹の人達には毎年インヴィテーションが届くそう。違う百貨店だと「うちなんて、座席はおろか立ち見ですよ」なんてボヤキも出るらしい。

また伊勢丹の2階の「お買い場」をケースにして、「どんな感性を持った人」を惹きつけたいかという徹底した視点と戦略を持って、「平場(ひらば)」を作っているということを学ぶ。
学生さんが作成した、ひら場を感性ごとに4つの区分に分けた、主に写真画像を使った貼りパネボードがとても分かり易く参考になった。
どんな人を表すこの「感性」については、かなり興味深くもっと知りたいと思った。人はある「感性」を持って生まれてきて、それは年齢を重ねても変わらないらしい。
感性は、どんな車を選ぶのか、またどんな服、食事、小物、家具やライフスタイルを選ぶのかの無意識の「基準」になっていて、一貫し共通したものがある。

その「感性」について9つにまとめられた"Emotional Proguram Bible"という書籍があり、伊勢丹もメンズ館でこのコンセプトを使っているとのこと。(早速、私はアマゾンで購入)

世界第3位のブランドに登ってきた年商6千億円のユニクロの場合、90年代後半にフリースジャケットが大ヒット。
しかしその後、イオンなど安売りに強い会社が同じものを作って販売、2000年には30%減の急降下。
2009年にはヒートテックがヒット、あっという間に売り切れた。
その後、国内で7000枚作って売り切れ、昨年は1億枚作って売り切ったそう。
日本の総人口を考えるとすごいですよね~。
ユニクロと東レの協働で生まれたこの技術、なかなか他社は勝てないそうです。
フリースの時とは違い、ヒートテックは「"これがいい"と選ばれる製品=ブランド」へと進化。

高い機能がヒートテックの「独自性」へと繋がっている。

ただし、ユニクロが世界第1位と2位のH&MとZARA(両者とも僅差、1位のH&Mが年商1兆6千億円)を抜いて1位になるには、難しいかも、、、と。
詳しくその理由を波多野さんは語らなかったが、
例えばH&Mは、安いだけではなく個性の強い商品が多い。有名なデザイナーのパクリもあるけれど、独自のデザインを持っていてオリジナリティがある。
だからターゲットとなる若い女性達から注目され、買いたいブランドになっている。
デザインにおいて、ブランドの独自性を打ち出しているから"デザインで選ばれるブランド"になっているし、売上げ規模も大きくなる。
そう考えると、ユニクロの場合、下着という狭い領域でしかも機能なので、洋服のように何枚も買いたいっていうものじゃないからなぁ。

まとめると今後のブランド・マーケティングを考えた場合、
「これでいいや」と選ばれるのではなく、「これがいい」と選ばれるものを提供する必要があるということが見えて来る。
例えば万人に好かれて無くとも、5人が熱烈に支持してくれるようなものを作り提供する。
そうすると同質化→陳腐化→価格競争→飽きられる というシナリオに陥ることはない。

そうなると、一体「誰のためのブランドなのか?」ということがまずは前提。

①「誰のため?」
②「どんな人」
③「何を自慢する?」
➃「どんな見え方?」

上記のことは、自分自身のパーソナル・ブランドを高める(選ばれる人)ことにも当てはめることができると思う。

①自分の専門性は何か?(どんなことに対して強みを発揮できるのか)
②その専門性を生かしてできる仕事は何か?
③他の人にはないあなたの強みは何か?
➃あなたが大事にしている価値観は何か?価値観を通じて周りにどんな貢献が出来るか?
⑤その自己イメージを表現し、他にインパクトのある印象度の高いアピアランスを作るとしたら(髪の色・スタイル、服装、小物、立ち居振る舞い、話し方)、何が必要か?

個人的には上記5つを突き詰めて考えて、日々謙虚な気持ちを持ってアンテナを張り精進することが、人から「この人がいい」と選ばれるという点においては大事だと思う。
また成果を創る上では、専門性を持ち日々高める努力をすると共に、幅広く視野を広げて自分の領域以外のことにも好奇心を失わずに学ぶという姿勢が同時に重要と思われる。
新しいものを生みだすには、常に違った視点が必要となる。

今後のリーダーシップの教育の中で、ミッション・ビジョンの探求の時に、この考え方を応用できるかもしれない。
また、それとは別に関係者の協力を貰って、パーソナル・ブランディングのセッションを別に開催してみてもいいかもしれないなぁ。








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