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物理脳と化学脳

GWに久しぶりに会った知合いから「物理脳」と「化学脳」の話しを聴いた。

「物理脳」というのは、
仮説を設定し検証していくメカニズムの強い脳のことを指す。
演繹法と帰納法とで言えば、演繹法の考え方となる。
一般原理から推測論理的推論により結論として個々の事象を導く思考となる。

一方「化学脳」は、
帰納法の考え方の強い脳となる。
とにかく実験、実験(やってみて)で傾向をつかんでいくやり方である。
演繹法とは逆に、個々の事象から事象間の本質的な結合関係(因果関係)を推論し、一般原理を導く思考となる。

私自身、「物理脳」と「化学脳」のどちらが強いかといえば、おそらく「化学脳」だろうと思う。

自分のビジョンを描き、具体的な道筋を導きだすくときにはとりあえず「物理脳」を使うが、日々の行動は、わりと思いつきとかひらめきでパっと行動を決めることが多い。原則原則に従ってというよりは、いい加減でゆるい部分が沢山ある。

元々勤めていた不動産会社で、企画部門にいて沢山の高層住宅の事業計画の結果を見てきた影響も大きいかもしれない。

当時の企画部門では、年間1500億円程度の首都圏を中心とした高層住宅の事業計画の目標があり、その目標は企画本部内の各部に割り当てられる。
毎週、事業化に向けて各部の担当者から企画物件が上程されるのだが、販売が上手く行くという根拠については、周辺の相場や立地、環境など、さらに「マンション売れ行き情報」などのデータをもとに、成功するという根拠をもとに仮説が立てられて事業計画書が作成される。

そして、役員会議を経て企画物件は、事業決定されるのだが、必ずしも販売が成功するとは限らない。
正しい根拠をもとにした仮説があったとしても、予定通り物件は売れないのである。

企画物件は、企画から1年以上を経過して販売されるので、その間に予測できなかった景気などの市場環境の変化を受けるということが一つの理由となる。

さらには、担当者自身の問題がある。
企画が成功する仮説を立てようと思えば、用いるデータは自分に都合の良いものを選び上手く加工し、不動産のプロではない役員さんの目をごまかすことができる。
年間の企画目標を割り当てたられた担当者は、プレッシャーからとにかく企画をあげて事業化し目標を達成せねばという心境に陥るので、企画に弱点が若干見えているとしても、販売するのは他部門なので「えいや!」という気持ちになりやすい。

上場していて余剰資金の少ないデベロッパーほど、売って仕入れて、売って仕入れての繰り返しで利益を稼ぐ必要があるので、自転車操業となり、「えいや!」組が増えてしまう傾向にあると思う。

このケースでの「えいや!」は、「もしかしたら、なんとなくまずいかなぁ~」という感じを持っているけれど、その感覚を無視して突っ走るときのえいや!である。
えいや!は、“組織の財布でものを決める時”、“思い入れや我欲に走ったとき”、“自信過剰の時”、“ねばならない状態”にはまった時に出やすい一面である。

そんなえいや!の「仮説」も見てきたせいか、論理でバリバリに固められた仮説ほど、胡散臭さがつきまとう。むむっ

ところで特にこの数年企業では、これまで以上に業務のプロセスやコミュニケーションなど、様々な分野で早急な課題解決が求められている。
カスタマーニーズの変化、IT技術の発達と情報化社会の進化など市場環境の変化はめまぐるしく、まったなしの変化に対応するスピードが求められているからである。

その影響もあり、企業ではリーダー層に「論理的思考法-ロジカルシンキング」という分野の教育を取り入れているところが多い。

しかし、この思考法、さきほどの「えいや!」ではないけれど、気をつけなければ、間違った方向に人を導くことがあるし、まったく機能しないことがある。

例えば、かつての会社で企画を担当していた管理職のIさんは、周りの人が口論で勝てない独自の論理展開があり、その論理武装に誰も打ち勝てないというアグレッシブな男性であった。しかし私が入社する前の彼の企画物件の成果はどうだったかよく分からないが、彼が進めていた事業は、その後社内を知る人の話しによれば全て失敗もしくは赤字となったらしい。怖い話しである。

また、某会社で進められた改革案は、理にかなったすばらしいプロジェクトであったけれど、猛烈な現場の抵抗によって進まず、担当役員さんは責任を感じて辞職することになったことがある。

そんなミスリードだったり抵抗を減らしてくためには、左脳だけではなく、やはり、右脳(感性)も活用して、問題解決を図ることが大事であると思う。
さらに、民主党のマニフェストではないが、途中経過をきちんとニュートラルに検証して、必要な修正を加えていく柔軟性が必要であると思う。

しかし、右脳(感性)も活用した問題解決は、一体どのように行うと良いのか?

問題解決のツールとして1つお奨めするならば、私自身は、NM法をお奨めしたいし、その後の柔軟性も加味するならばSFAの活用もお奨めしたい。

NM法は亡くなられた中山正和さんが開発された問題解決の発想法である。
イメージや形容詞(感覚的な言語)を使うことによって、右脳を活用して解決にいたる発想を創造的に行う手法となる。
NM法が秀逸なのは、どんなに感性が鈍い人でも、必ず創造的な発想を導きだせる点である。
ご興味ある方は、アマゾンで中山さんの「発想法の書籍」が買えます。

さらに、柔軟に修正を加えていく考え方としては、S.F.A.(ソリューション・フォーカス・アプローチ)がシンプルで簡単である。
問題解決に向けて、出来ることを1歩づつ積み上げて、確実に進んでいくやり方で、かなり柔軟な対応が取れる。
また、具体的に出来ることを1歩づつ進めていくので、誰でも実行できる。
さらにこの手法は、上手く行っていないことの原因分析を一切しないので、その分解決策を導く時間を削減できるし、組織で働く人のエネルギーが下がらない。
いま、アメリカやヨーロッパの会社組織では、SFAやAIといった「ポジティブアプローチ」による問題解決が主流の一つともなっている。
そのほうが、問題解決が早くて効率的という結果が出ているからである。

「ポジティブ・アプローチ」は、もともと、心理学から派生して出来た手法なので、
人間の“心理や感情”を踏まえたうえで考えられた組織の「問題解決」や「組織開発」の手法となっています。

その心理学の背景を言えば、現在の問題を過去の幼少期のトラウマウにさかのぼって、何十時間かけてていくら検証してみても、現代の問題の完全解決にはならないと臨床から悟ったセラピストや研究者たちが、「フロイトよさらば」とばかりに生みだした“N.L.P”や“ブリーフ・セラピー”であり、今のSFAやAIなどのアプローチに大きな影響を与えています。

結局、どんなに正しいと思える解決法も、人がやる気になって取り組まないと、上手くいかないし、社会は複数の人がいる限り常に変化するので、今正しいと思える解決策も変わる可能性があるという過去の経験から、必然的に生まれてきているのだと思います。
この、60年代、70年代のアメリカ西海岸を中心とした様々なセラピーやワークショップの取り組みは、今振り返ってみれば、大きなイノベーションだったのだと思います。

何だか、ダラダラと書いてしまって、
結局、知合いから言われた「物理脳」と「化学脳」によって、「ポジティブ・アプローチ」がやっぱり問題解決や組織開発には成功率が高いということに帰結してしまった。やっぱり私は、「化学脳」













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