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ワイン 味覚は不思議

ワインについて思い起こせば、
初めてレストランで頼んだボトルワインは確か”マテウス・ロゼ”だった。
20代前半、ワインを美味しいと思っても、興味関心はまだまだ薄かった頃である。

薄くて丸いボトルに入った甘くてピンク色の、微発泡性のポルトガルのロゼワイン。
会社の帰り道に銀座辺りのレストランで、女の子同士で食事をしながら飲むには、手頃でちょうど良いワインだっと思う。


今でも見かけるけれど、当時もイタリアン・レストランでは、魚の形の白ワインをよく置いていた。

ペッシェ・ヴィーノ 実は1回しか飲んだことはないけれど、スッキリ軽くてちょっと酸味のある白ワインだったと記憶。
調べてみると、このボトルの魚は「鯛」なんですよね。


しばらくして、取引先の社長に、飯倉片町の「キヤンティ」でご飯をご馳走になる機会があり、その社長がワイン好きで、2種類の赤ワイン(キヤンティ)のボトルを同時に開けて、飲み比べをさせてくれた。
「この1本は若くて緑の香りがするような赤ワイン、もう一本はもっと時間をかけた熟成した赤ワイン。全然違うでしょう?」
社長の言うとおり、2本は同じキヤンティでも、口当たりも味わいも違っていた。
”同じキャンティでも、熟成でこんなに味わいが変わるんだ~!”と、とても驚いたのを今でもはっきり憶えている。
これが、「ワインて面白い!」と初めて感じた瞬間だったと思う。


そして、その後、間もなく「シャルドネ大好き」の時代が来る。

90年に旅行でオーストラリアに行った時、転勤していた友人にハンターバレーに連れて行って貰い、ワイナリー巡りをした。
その時に訪れた各ワイナリーでテイスティングしたシャルドネがとても美味しかった。
シャルドネばかりをテイスティングしたせいで、各ワイナリーのシャルドネの違いが分かって面白かった。
サントリーに勤める友人は、大手のワイナリーを1つ、残りは小さな作り手のブティックワイナリーを中心に訪問ワイナリーを選んでくれていた。
これがシャルドネ大好きとなったきっかけ。

ワイナリーでテイスティングしているとき、ヨーロッパから来ていた旅行客の女性が、「白ワインは、フランスよりもオーストラリアの方が安定していて美味しい」と話してくれたことが強く印象に残っている。
へぇ~意外!と思いながら、話しを聞いていた。その後、日本の小売で仏と豪のワインを買うようになるとしっかり実感するのだけれど。

その時に購入した小さな家族経営のワイナリー「Mount View Estate」のシャルドネがとても美味しくて後日帰国してから追加で1ケースを購入した。
樽香が効いていて、わずかにキャラメルの香りもあり、なんてバランスが良くて美味しいんだろう!と感動してしまった。

下記は今現在のMount View Estateのシャルドネ。ボトルはコルクからスクリューキャップにエチケットもデザインが変わっている。
当時は家族経営の本当に小さくてシャビーな感じがするワイナリーだった。


シャルドネを飲み慣れてくるにつれて、段々とフルボディで重めの赤ワインも美味しく感じられるようになってくる。
よく熟成したカベルネ・ソーヴィニヨンを飲むようになり、ボルドー、イスラエル、チリなどのカベルネ・ソーヴィニヨンなど自宅で飲むようになる。
そういえば、当時西麻布の「ツバキ」で飲んだチョコレートのような深みのあるカベルネが美味しくて、何度か足を運んだ
男性のワイン好きは、成功してお金を持っている人達が多かったと思う。
彼らは、フランスの五大シャトーのワインについて語り、一緒に食事に行くと、肉を中心とした料理としっかりした赤ワインというのが多かった。
90年代にビジネスで成功した男性にとって、ワイン=洗練された趣味とステータスを示すものだったのかもしれない。

一方女子の友人はと言えば、実際のところ、30歳も超えてくるとだんだんとあっさりした魚や野菜の料理を好む人が多くなる。
女同志で出かけると、ワインは、食事に合わせて、泡→白→赤へ変遷していくのだけれど、そんなに量は多く飲めない。
だから、ボトルよりも、美味しいグラスのワインを揃えているレストランは口コミでぱっと広がる。(当時はなかなかそんな店が無いから広がるのも早い)
女子の場合、美味しいものを小さく数多く食べたいという傾向が強い。だから、ワインも同様に食事に合う美味しいワインをグラスで頼んで、幅広く楽しみたいと思う。
女子にとっては、ワインは飲み物というより、食べ物なんだと思う。
軽くてヘルシーな食事に合わせると、赤ワインはずっしりしたカべルネよりも、繊細で軽やかで華やかな香りのピノノアールを飲む機会が増えた。
また、食事を終えた後、麻布にあるブルゴーニュのワイン専門のワインバー「アルモニ」などでワインをよく飲んだ。
今思えば、当時は今のように、安くて美味しいワインを揃えているレストランはなかったと思うし、美味しいグラスワインの揃えについて言えば、あまり無かった。

また、その後、赤ワインはオーストラリアのシラーが好きになったり、ナパに行けばプチヴェルドーや、ルヴィヤット、マルベック、ジンファンデルも好きになった。
以前は好きではなかったラングドックのグルナッシュも美味しいものを発見し、今では大好きなぶどうの一つである。
イタリアでワイナリー巡りをしてからはトスカーナのサンジョベーゼ、ブルネッロ、メルローとサンジョベーゼのブレンドや、アリアニコ、プリミティーボなども好きになった。
イタリアにはワイン用のぶどう品種が500種類以上あるらしいから、美味しいワインはきっともっと沢山あるのだと思う。がーん

白ワインも、シャルドネ以外にもリースリング、ソーヴィニヨンブラン、ゲベルツトラミネール、マスカット、甲州、ピノグリとどんどんと好きなぶどうが広がり、色々なワインを飲むにつれて、その個性や特徴が面白いし美味しいと感じられるようになった。

このワインの味覚の広がりは、子供のころに嫌いだった食べ物が好きになるのとちょっと似ている。
勿論美味しくないと感じるワインは今でも沢山あるけれど、一つひとつのぶどうが持つ個性や地域性を最大限に発揮出来ているワインはやっぱり秀逸、美味しいと感じる。
ずっと昔はシャルドネが好きで、それ以外の白ワインはあまり飲まなかったが、今では飲みたいぶどう品種が沢山あって迷ってしまう。
それぞれの個性を楽しむのがやっぱり面白い。

そして更に言えば、飲む回数が増えるにつれ、これまで体験していない特徴のあるエキゾチックなワイン(といってエキゾチック過ぎない)を、期待するようになる。
私の場合でいえば、断然エキゾチックさを感じさせるのは「香り」である。
大分県の安心院ワイナリーのシャルドネを飲んだ時はややショックを受けた。
ほんのわずかだけれど、シャルドネの香りの中にカルダモンのような不思議なスパイシーな香りを感じた。
なぜ????と思って調べてみると、実はこのワイン、海外のワインコンテストで賞を取っていたりする。
こんな風な驚きがあると、ワインとの出会いがまた楽しく感じられる。


ワインを好きになってから食事を楽しむ喜びも広がったが、ワイン好きの友とのワインを飲みながらの食事は最高。
何より美味しいを共感し、共有できるというのは喜びが倍増するのだと思う。

ワインは国を超えて人と人を繋ぐ力もある、素晴らしい食べ物と言いたくなってしまう。

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