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2008-12-28 Sun
夫婦で久しぶりに週末映画を観にいくことに。
上映までの時間、「文化村」に立ち寄り、地下のブックショップの"ナディッフモダン"をのぞいてみます。
アート中心で、古書も含め面白い本があるんですよね。
本をよく買う旦那さんは、どのコーナーの本も手にとり目を通しています。
私も幾つか書籍を購入しました。
手にした本を少し読むのに、二人でドゥ・マゴ・パリでお茶を。
私は昔、ここでお茶をするのが好きでした。
ビルの吹き抜けを利用したお店の外側のカフェは、通りでお茶を飲んでいる気分になれます。
それと"カフェ・オレ"、自分でミルクとコーヒーを配分して飲めるのも嬉しい。
美味しそうに飲んでいる私を、じっと見ている主人の"目"、
「ハイハイ、分かってますよ。飲みたいんでしょ。」
エスプレッソWを、あっという間に飲み干した旦那さんのカップに、ミルクとコーヒーを注ぎます。
余談ですが、彼は何でも飲み干すタイプの人です。
ビール、焼酎、ソーダ、日本酒、お茶、ワイン、何でも同じようにグイグイ飲みます。
熱いものでも平気らしく、かなりアッついお茶も、グーっと飲んでいる姿を見ると、猫舌の私は恐ろしくなります。
私の友人達は目撃者なので、皆知ってますが、生ビールなんかも、最初の一息で中生グラスの約9割を飲み干します。
ある意味、特技だと思いますが、お高いワインとか、喉越しにグイグイ飲んでる姿を見ていると、本当にもったいないと感じます。
近くの映画館で上映している「TOKYO JOE」を観に行くことに。
映画は、ジャズっぽい曲を、スタジオで録音をしている場面からスタートします。
演奏者たちの会話と、メローな曲が流れてきます。
そして、当時東京ジョーこと、"ケン・エトー"のFBI担当捜査官であり、供述を取った「エレイン・スミス」の回顧録の場面に、切り替わります。
暗いホテルのような一室で、エレイン・スミスが、「最初見た彼は、典型的なマフィア、冷酷で残忍な殺し屋だという印象でした。」と語ります。
フィルムは、ドキュメンタリーで淡々と進んで行きますが、次第にその内容に引き込まれていきます。
マフィアが君臨する当時のシカゴがどういう町であったのか、
組織の幹部の一人であった、ケン・エトーの「証言」の意味が、当時、どれ程大きな意味とインパクトがあったのかが、じっくりと伝わってきます。
日系人マフィアであるがゆえに長い間、マークされなかったこと(彼が大物であるという認識は、当時のFBIにはなかったらしい)、シカゴマフィアによる、約1千件を超える暗殺のうち、失敗したケースは彼しかないという事実(エトーは頭に3発の銃弾を打ち込まれて奇跡的に助かっている)、また義理を重んじる日系人としての彼のメンタリティを考えると、組織を壊滅へと追い込んでいく証言が取れたことは、「数千分の1」の確率でしか、起こりえない奇跡だったのではなかったかと私は感じてしまいました。見方を変えれば、彼がシカゴマフィアの大幹部となり、命を狙われて助かってしまうのは、運命だったのかもしれない。
また、彼がどういう生い立ちであったのか、そしてどういう人物であったのかを、エレイン・スミスのインタビューを中心に、彼の父親、母親、弟、息子、関わった人物などの視点から、人物像を掘り下げています。
自分の中でも、複雑な気持ちになりました。
ケン・エトーが、冷酷な殺人者・悪党であるのに、人物としは"魅力がある"からです。
過酷な少年時代を乗り越えてきた「賢さ」、「人物をするどく見抜く目」、「どんな事にも動じない冷静さ」、「組織を仕切れるやり手」、「ユーモア」、「タフさ」など、舞台が変われば同じようにリーダーシップを発揮して、世の中に貢献することも出来たろうにと感じてしまいました。
「どうだった、映画」と私。
「う~ん、俺はいまいち物足りなかったかな、、、。」
「どんな風に?」
「なんていうか、俺、本で読んでるからね。」
「描ききれていない部分があった?」
「そうだな、何でエトーが組織から命を狙われたのか、もっと理由があったはずと思う。」
「それって、彼が"賭博開帳容疑"で検挙されて、刑量を下げるためFBIと裏取引し、組織のことをしゃべると、マフィアから疑われたからじゃない?」
「うん、でももっと色々あったと思う。組織をだまして裏で稼いでいたとかさ。だって、銃で撃たれる日、彼は殺されると分かって車に乗るんだよ。おかしくないか?」
「そうだねぇ~、そこのところは、エレイン・スミスが彼に、"殺されると分かっていて、なぜ、逃げなかった?"と聞いたけど、彼は"行くしかなかった。"としか答えていないんだよね。
でも、私はあの部分、彼の"生き方"を暗示していると感じたなぁ。だって、彼17年間の膨大なFBIへの供述で、一度も追加・修正をしていないんだよね。それってエレイン・スミスも言っていたけれど、あり得ないことだと思う。だけど、そのことは、彼が思考や生き方において、洞察力があり、迷いのない一貫性を、持っていたと感じさせる話しだよね。」
「そうかもね。彼はマフィアの「掟」を、十分に分かっていたろうしね。だから、状況を自分なりに分析して、殺される覚悟を決めた。そして一番いいスーツに着替えて車に乗った。自分の美学にのっとってね。」
「"潔さ"を選んだだろうね。」
と、映画談義を続ける私達は、食事を終えそのまま渋谷のレガートのバーへと流れます。
お店の内装がちょっと面白いんですよねぇ。
これ、バーカウンターの天井です。
カクテル、とっても美味しいです。
それとお酒の量が、グラスが大きくて欧米のバーなみで、お値段も手ごろだし、サービスもいいし、お得です。
(なんで日本のカクテルバーって、あんなにグラスが小さくて量が少ないんでしょうねぇ。)
ここでは、うちの旦那さん、周りが興味深いのか観察に忙しくて、ガブ飲みはしていませんでした。
by bandoh
イベント、観劇 : 10:31 : comments (x) : trackback (x)