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コーチングにて亡き父を思い出す

「初めて家族以外の誰かに伝える話しですが、、実は父がガンで余命がいくばくもないんです。」

私のコーチングのクライアントが、思い切ったように打ち明け始めた時、
私には彼の気持ちが痛いほど分かりました。

私の父も約3年前の夏、ガンを宣告され亡くなったからです。

彼の話しを聞いたのは、コーチングの途中でしたが、
不覚にも涙がジワーっと溢れてしまいました。


父は、私と姉と母の3人の中で共通する話題も少なかったのだと思いますが、
家族の中ではあまりしゃべらない人でした。
母の方がチャキチャキしていて、よくしゃべり、よく笑い、
多分いつも父の5倍位は話していたと思います。

だから、私が子供の頃、父は無口な人なんだとずっと思っていました。

でも家にお客さんが来たり、外で知らない人と会ったり、
海外旅行に行って現地の人と一緒になると、
いつも積極的にニコニコ笑いながら、話題を提供して話すのは父で、
母は逆転して、引っ込み思案になります。

ある夏の日、平砂浦近くの海辺でバーベキューを楽しんでいた日のことです。
そこの浜辺は岩に囲まれた小さな入り江のようになっていて、
周りから邪魔されず、プライベートを楽しめる絶好の場所になっていました。

私は海から上がると、タオルで体を拭き、焼きあがったお肉や野菜
ハマグリなどを、パクパクとほうばり、クーラーでキーンとよく冷えたソーダを飲み
浜に少しいては、また波間に戻るというのを繰り返していました。

こんな時、もっぱら道具をセットして、黙々と焼き物担当してくれるのは父です。

岩場に登って、ヤドカリをつついて遊んでいた私が浜辺をふと振返ると、
家族のそばに見知らぬモンペを掃いたおばあさんがじっと座っているのが見えました。

近くの人かな、、?

海から上がって近づいてみると、
おばあさん、じ~っとただ1人で座って海を眺めています。

何となく、家族だけの中に知らない人がいる気まずさもあり
私は、今まで騒いでいたのをやめて静かに大人しくなりました。

そんなときでした。
父は、お皿に焼き物を色々持って、おばあさんに近づいていき、
ニコっと笑って「どうぞ、ちょうど焼けたところです。」
といって、お皿を差し出しました。

おばあさん、ちょっと遠慮がちにうなずくと
お皿を手にとり、それを見た父は今度はそのおばあさんの隣に座り、
なにやら世間話しを始めました。
時々楽しそうな笑いも聞こえます。

私はそれから再び、いつもの遠慮なしのモードに戻りました。

今思えば、父はどんな人もいつもニコニコと受け入れる
滅多に人を怒ったりしない、度量の広さを持った人だったと感じます。

父がこの世からいなくなってしまう悲しさは、私の想像を超えていました。

今、研修やコーチングで働く人を支援している私が、
少しでも多くの人に貢献できることがあるとしたら、
父の心の広さと優しさから学び、もっと柔軟さを取り入れることかもしれない。

コーチングが終わった帰り道、そう自分と会話をしていました。






コーチング : 19:44 : comments (x) : trackback (x)
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