<< NEXT | Main | BACK >> |
2009-11-20 Fri
11月19日、六本木のアカデミーヒルズで開催されたランチョン・セミナーの「歴史的転換点を迎えた日本政治」に出席した。
講師はコロンビア大学のジェラルド・カーティス教授である。
今回の政権交代を日米関係の第一人者である、カーティス教授がどう見ているのかについて興味があり、昼間ではあったが、参加することにした。
日本の民主主義は、世界大戦後の〝アメリカによってもたらされた〟という印象を持っている人が多いのではないかと思うが、大正デモクラシー以降、日本は独自の民主主義政治を行ってきている。
カーティス教授は、大正時代から始まった日本の民主主義政治が、大きな転換点を迎えているという。
大きな転換とは何か?
今まで政府と政党との間でダブルで作られていた政策が、初めて政府と政党とで1本化されて作成されるようになったことだ。
つまり、これまでの〝日本的民主主義〟の中では、政府=官僚+内閣府であり、与党である自民党の内閣府は、官僚主導によって政策を作っていた。
また他方では、政党の中でも政策を作成している。ゆえに官僚からあがってきた政府の政策と、政党内であがってくる政策を調整する必要がある。
そこで、政府と与党の間では、調整を行い一致させるための連絡会議を行ってきた。
これまで、政権を取った大物政治家は、内閣に入らずとも、影響力を発揮できる「総務会長」、「政調会長」、「幹事長」の三役のポストにつくことになっていた。
しかし、民主党は大正時代の1920年からずっと続いてきた、この政策決定のシステムを、たったの数週間で変化させた。
「政府」と「政党」とが分かれずに、政策を作る仕組みに変えたのだ。
管直人国家戦略担当大臣は、連絡会議となる「政調会」を廃止した。
さらにカーティス教授は、民主党の小沢幹事長は、以前からこの構想を持っていたと言う。
英国のウエスト・ミニスター式の民主主義を下敷きに、この新しい試みを始めたとしている。
しかし、話しは飛ぶが、
自民党の内閣が官僚に任せて政策を作らせるという手法、何となく日本企業の経営の仕方に似ていると感じる。
日本企業の事業部長などの部門のトップは、優秀なNo2となる部下に、事業計画などの下案を作成させるケースが非常に多い。会社のトップも経営企画室に、経営方針を書かせたりする。
ところが、外資系企業の場合は違う。
MBAを持つマネジメントが、自分たちでビジネスプランとなる事業計画書を作成する。
そう考えると....
もしかして、これって日本の民主主義の伝統というよりは、日本の組織文化???
長く太平の時代が続いた江戸時代の、世襲制のお殿様を支えた徳川政治の名残りであろうか....。
それとも、集団合議やチームワークを尊重するがゆえに、現場を知るNo2の部下に、下からの意見を反映させた事業計画を練らせることが目的であろうか?
まぁ、話しは飛んでしまったが、
要するに、今回の政権交代によって、
この日本的民主主義の政策決定のプロセスを一本化し、
大きく変えたことの意味が大きいとカーティス教授を述べていた。
しかしながら、今後の課題としては、日本のマスコミ同様に、下記の点を指摘している。
*経済環境や国民の要求と合致していないマニフェストを死守する姿勢
*首相のアカウンタビリティ(国民に対する説得力)
*少数議席しかない社民党、国民新党に振り回されている実態
(普天間基地移設の問題、郵政民営化の逆行をいく路線)
*官僚を使いこなせず疲弊している大臣、スタッフを有効活用していない(岡田さんと長妻さん?)
*自民党が選挙の大敗を総括できず崩壊しそうに見える→せっかく実現した二大政党制が崩れる
*首相、大臣がそれぞれメディアに対して一致せずにバラバラな発言をしている
*消費者への対策はあっても、経済の成長戦略がない
*日米間の不信感
上記の問題については、同感である。
特に、私の場合、大手企業との仕事が多いので、マクロ経済に対する刺激策や、成長戦略が未だ作られていない点など、今後の景気を考えると、本当にうんざりする。
政策を決めるプロセスを変えたのはいいけれど、中身はどうなるんじゃ~
by bandoh
政治、社会 : 14:54 : comments (x) : trackback (x)