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2009-05-27 Wed
「日本はやっぱり騒ぎ過ぎですよねぇ。」
海外に拠点を持つ経営者の多くは、新型インフルエンザに対する日本人の対応ぶりをそう評する。
私は、海外に会社の拠点はないが、その意見に同意する。
日本は島国のせいなのか、諸外国に比べると、外から入ってくる「異物」に対して敏感だと思う。
さらに、「衛生」に関する概念がちょっと違うように感じる。
そもそも、この新型ウィルスの対応に限らず、市場で売られている商品にもその特性がよく現れている。
除菌クリーナー、除菌消臭剤、除菌スプレーなど、CMでもお店でもどこでも見かける商品だが、この十数年でそういった除菌を記した商品がやたら増えている。
企業の商売上の戦略と日本人の特性が見事にマッチしているのだろうが、人の意識が「きれい」→「清潔」→「除菌」へとプロモートしていると感じる。
日本は、「除菌国家」になりつつあるのではかなろうか....。
以前ニューヨークにいた頃、大学のトイレで、ウェットティッシュタイプの除菌クリーナーを持って立っていたら、アメリカ人の学生から、「それな~に?」と聞かれた。
「これ?アルコールが含まれたトイレのシート用のティッシュ。これで座る前にシートを拭くのよ。」と教えたら、「え~、そんなものあるんだ!ちょっと見せて、いいわねぇ~。」と驚いていた。折りしも当時はエイズの恐怖がまん延している時だったので、根拠はないがトイレはやっぱり怖い場所だった。私に限らず、何人かの日本人女子学生は、ウェットティッシュを携帯している人が結構いたと記憶する。
当時、イタリア人の女子学生が誇らしげに語ったのを聞いて驚いたことがある。「私って、ヨーロピアンの中では、結構きれい好きな方だと思う。少なくとも週に1回はシャワーを浴びるしね。」
それに、同じ大学寮の台湾から留学している女子学生の食器や鍋を見て驚いた。"台湾風おでん"をご馳走になるために、彼女の共同スイートのキッチン兼ダイニングへ行くと、洗って並べている彼女の食器がみな薄茶色っぽくて、ベトベトしているのだ。鍋にいたっては濃い茶色に変色している。不思議に思っていたら後に理由が判明。彼女達中国系は、どうも鍋や食器洗いに洗剤を使わないらしい。鍋については特に火を通して使うのでそれで殺菌消毒されているという解釈のようだ。これにも驚いた。
大体にして、日本人(特に女性)はそういった面での清潔感に関しては、世界でもトップ・クラスに入るのではないだろうか?
(部屋の掃除の仕方は別と思いますが)
さらに、北京大学に留学した私の友人(かなりバンカラな女性)は帰国後こう語った。「北京大学のダンスパーティで何がイヤだってトイレよ。女子トイレがパーティの最中、混んで行列になるんだけど、我慢できない子はその場でしゃがみこんで、目の前でしちゃうんだよねぇ..。それも、その子が特別ってわけじゃなく、割といるんだよね。」
汚いトイレに弱い私は、その話しを聞いただけで倒れそうになった。
しかし、中国を放浪した友人の話しは違う意味でもっとすごかった。
「そもそも、公共のトイレでも、個別の便器のユニットとユニットの間に壁がなくてさぁ、トイレに入るとただ「しゃがみ式」(和式と同じようなもの)の便器がダ~って並んでるだけなんだよ。その便器の前で、次の人が立って待って並んでるんだぜ~。」ヒェ~。
「しかもさぁ、並んでいる人は、便器にしゃがみこんで"している"人と目を合わせてるんだよ。しゃがんでる人は、"お前が何か変なことしないように見張ってるぞ!"っていう合図で見てるし、並んでいる人は、"私は何もしませんよ"っていう合図で見てるんだよね。」
暗黙の了解か.....
まぁ人間も動物も、最も無防備な瞬間は、"このとき"でしょうから、理にかなっているのかもしれませんが。
大体、トイレタイムは日本人女性にとっては、とてもプライベートなこと。
決してその「姿」もその「音」も、他の人には知られたくないと思っている人が殆どでしょう。
「だって、恥ずかしいもん。」の一言に尽きると思います。
しかしながら、諸外国の事情は、わが日本女性のそれとは違います。
中国ではユニットに壁がないという話しをしましたが、
アメリカでは、大学寮のスイートルーム(4-5人1つのユニットの部屋)のバスとトイレは同じ場所にあります。ホテルと一緒ですね。
一人プライベートな時間を、トイレのシートに座って過ごしていると、化粧水だが何かを取りに来た同室の女子学生(欧米系)が、話しかけながらズカズカと入ってきます。
数年前には、旅行したベトナムのサイゴンの大通りの道路わきで、しゃがんで用を足している若い女性を見かけました。
彼等は、日本人女性ほど、トイレでの用足しに恥ずかしさを感じないと断言したい。
諸外国に行くと、日本人以外の女性が皆堂々としていて強く見えるのは、このトイレ文化の違いも大きな原因ではなかろうか?
日本人女性の「やだ~、恥ずかしい!!うそ~知らなかった!本当に~すご~い!!」というブリっ子な文化の原点は、ここにあるのではなかろうか?
日本人女性にとって、何が恥ずかしいって、トイレ姿を見られること位恥ずかしいことはなかなかないと思う。
でも、仮に、小さい頃から、「"トイレの用足し姿"を見られるのが恥ずかしくない」という習慣のもとに育ったとしたら、意識も変わってくるように思う。
何かこうもっと"おおらかさ"とか"スケールの大きさ"が、全体的に生まれてくるのではないだろうか。
図太くスケールの大きい女性が増えることによって、女性管理職や女性企業家の数が増え、男性も競争するわけだから比例して強くなったりして。(飛躍し過ぎですかね)
日本に新型ウィルスが入ってきたりなどで、"除菌・滅菌"は今後益々加速するように思う。
しかし、同時に子供の頃から、親が除菌・滅菌などで、綺麗に大事に育てすぎて、菌に弱い、ひ弱な子供が増えるんじゃないだろうかとふと気になったりする。
今後、益々世界はグローバル化し、経済での競争は厳しくなっていくだろう。
そんな中、中国とか諸外国のようにトイレ姿を見られても恥ずかしくない、図太い民族と戦うわけである。
昭和生まれはまだ何とか戦えても、平成生まれは柔で戦えないんじゃないだろうかという危惧が残る。
企業は勝ち残りをかけて、必死に今の状況に対応していると思うが、新型ウィルスについての対応を見ているとやや不安を感じる。
「日本人よ、弱毒性ウィルスくらいでビクビクするなぁ。賢くもっと図太くなれ~!」と言ってみたい。
by bandoh
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