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2011-08-13 Sat
8月11日、民主党が「再生買取エネルギー法案」の修正案を、論点をペーパーでエネルギー庁に丸投げし作成させていたことが分かった。結局民主党内で十分な議論もせず官僚頼りなことがまた露呈。
民主党が金看板として「政治主導」と唱えながら、これまでまったく政治主導出来ていないことは、周知の事実であると思うけれど、3つの原因があるのではないだろうか。
①政権与党の経験が浅いため官僚機構を動かすシステムと術に欠ける
②実はもともと政策立案能力の高い人がいないし、いい外部ブレーンがいない?
③党内の意見を集約できず一枚岩になれない
(党内は中道右派から極左まで、色々な思想を持った政治家の寄せ集め、かつ党内の意思決定や政策決定のプロセスが見えないし、議論形成の仕組みも見えない。)
今の民主党を見ていると、「共通理念を欠いたバラバラ体質の素人集団による思いつき政治の政党」と表現したくなる。
いずれにしても、行政改革も全く進むどころか逆行し、国がどの方向へ向かっているのかまったくもって不明な今、政治家がリーダーシップを発揮して、国のあるべき姿を提示し、国という大きなシステムを動かしていくことが本当に必要と思う。(けれどなかなか出来る政治家、政党がないですよね~)
特に米国の国債の格付けが下がり、欧州の問題もどうなるか分からない状況で、国の舵取りがしっかりしていなければ、日本はこの波の悪い影響を受けて後手に回るだけの無策な国となってしまうと感じる。
少し前に戻ると、小泉元首相は、「郵政改革」を旗印に、「政治主導」を発揮した数少ない政治家だと思う。
小泉元首相に対しては色々な意見もあると思うけれど、政治家として自分が目指したことに向けて、周りの政治家、そしてブレーンや官僚を巻き込み、殆どのメディアを敵に回しても、世論を味方につけて、郵政改革を実現できたことは事実である。あれだけメディアを敵にまわしても、長期政権を維持できる政治家は、世界中探してもそうそういないだろうと思う。
そういう意味で、小泉さんは突出した政治家だったと言える。
小泉政権下では、規制緩和を行い構造改革も進んでいた。格差社会を生んだと民主党や共産党に批判されていたけれど、今の民主党政権下の方が格差社会を生み出している。統計ではっきりと出ている。
2010年に出版された英のブレア元首相と米のブッシュ元大統領の回顧録の中に小泉首相が登場しているが、
『イラクをめぐり「米英」と「仏独」の対立が高まっていた2005年の夏、シラク大統領が「料理がまずい国の人間は信用できない」と英国を非難する方言騒ぎが起きた。(本人は放言を否定しているが)。この数日後、英国グレンイーグルズで開かれ、ブレア氏が議長を務めたG8の晩餐会でのことである。小泉氏は出てきた英国料理をガツガツとほおばりながら、「ヘイ、ジャック(シラク氏)、英国料理はうまいだろう、どうだ」と、大音声でシラク氏をからかったというのである。
「シラク放言」は既にヨーロッパ中のメディアで報じられたばかりだ。食卓を囲んだ首脳たちはそのことを思い出し、小泉氏の発言をシラク氏に対する痛烈な皮肉と受け取って、どっと笑ったのである。満座の席でしかも英女王までもが「いったい、何のお話し?」と尋ねたために、シラク氏はとうとう自分が放言をしたと報じられたことから始めて、すべてを女王に自ら説明しなければならない羽目に陥った。
しかし、小泉氏は、かさにかかったように、新たな料理が運ばれるたびに「うまい、うまい」と挑発を続けたという。ブレア氏もこの場面を内心では相当楽しんだようで、「シラク氏はしまいには、そばにいる護衛官の銃をつかんで小泉氏を射殺しかねない」様子だったと回顧録に記している。いかにも、相手が誰だろうと物おじしない小泉氏の豪胆ぶりを示す一場面といえそうだ。』(産経新聞論説委員兼編集委員:高畑昭男氏のブログより引用)
このG8の数日前に、イラク戦争を反対していたシラク、シュレーダー、プーチンの3人でロシア国内で会談したことが分かっていた時期なので、小泉さんは内心、意趣返しでシラクをたたくいい機会と狙っていたのだろうと思う。
しかし、英国女王も出席する晩餐会の席とは、小泉さんも相当肝がすわっている。
管首相は、今回、小泉さんのやり方をまねて、何とか政権の座に居座りたかったようだが..、“出来る限り総理大臣の権限を使う”、“シングルイシュー”で臨むなど、表面だけマネたがまったく上手くいかなかった。
そもそも、管首相には一貫した大義がなく、世論や時流のテーマでコロコロ変わる。人の心に残るメッセージがないし、声にも思いやりや他者への尊重がまったく感じられない。
一番大事にしていたのは「権力の座に出来る限り長くしがみついている」ことのように見えた。
その点、テレビの映像は怖い。自分の性格を隠そうとしても、鮮明な映像と音声が伝わることによって、しゃべり方、声の感じ、顔の表情によって、その人の『印象』(いい感じか/嫌な感じか)が視聴者にはっきり伝わってしまう。
他者を尊重していなければ、それは言葉にも声のトーンにも、表情にも出てしまうので、「何だか、この人傲慢でいやな感じ」と、理屈抜きに悪印象が相手に伝わってしまう。
小泉さんの場合も、メディアを敵にまわして(特に朝日)、批判をされ続けていたけれど、TVの映像に登場する小泉さんは、毎回、印象度の高い態度、メッセージ、表情、声のトーン、そして一貫性を持っていた。
逆に毎回決まって批判するキャスター、コメンテーター、野党の政治家、郵政族の議員達は、態度、表情、メッセージ、声のトーンに、何とも言えない嫌な感じが溢れていた。
そもそも、人間、文句ばかり言っている人を面白がっても、意識の底ではあまり好まないものなのだろう。
小泉さんが国民の多くに支持されたのは、TVを通じて伝わってくるそれらの「好印象」と、「一貫性ある信念-ブレのなさ」によるところが大きいのではないかと感じる。
自制心が強く、かつ感性で物事を捉えることの出来る人だと感じる。
小泉さんのやり方を表面的にマネる人は今後も出てくるかもしれないが、本当に小泉さんのように出来る人は、なかなかいないと思う。野心が強くて、人の気持ちや心理が分かる人って少ないし。
だから、話しを戻すと、「政治主導」を実現していくには、『属人的』なことを期待しても難しいし、確実性がないので、政治主導で進められる『仕組み』が必要だと思います。
今自民党では、「再生エネルギー買取法案」に関する修正案に向けて、会合が行われています。
現時点で18回に及んでいますが、各議員の見解を重ねて修正案を作成しています。
これらの政策を決めていく取り組みは、一つの『仕組み』として今後も積極的に行うべきと強く思います。
石破政調会長が、12日の党総合エネルギー特命委員会で「今回の再生エネ買取の修正案は、官僚に一切依存せず、丁寧に議論を積み上げて作られた。政治主導の政策決定プロセスのモデルになり得る。今後政権に返り咲いてもこのスタイルを続けなくてはならない」と発言したそう。
自民党は、今、与党から外れて学んでいる教訓を、与党になっても忘れずに必ず生かして欲しいです。
また「政治主導」を進めるためには、もうひとつあります。政策そのものを、アメリカのように、「ランド研究所」のような中立的で優れたシンクタンクに依頼するということも一つの方法だと思います。
族議員からも、縦割り行政の省益からも、圧力団体からも、まったく影響を受けない、色々な国からの研究者を受け入れる優れたシンクタンクに政策を外注し検討することができれば、官僚に頼らなくとも政策を立案できるし、色々な視点を含めたいい政策を立案できると思います。
アメリカの場合、そもそも政権交代によって官僚も入れ替わるので、ランド研究所のような長年存続している優秀なシンクタンクが政策決定においては必要なんだろうと想像しますが。
余談となりますが、「みんなの党」の動きを見ていると、何だか最近???な感じゆえに、ちょっと期待出来ない気がしてきた。
もともと、「みんなの党」のお客さんて都市のサラリーマン層とかだろうと思うけれど、最近の様子みていると、まったくもってお客さん層を見誤っている感じがする。
もっと経済政策に特化した政策を打ち出さないと、前回、「みんなの党」に投票した人達も、見限っていくような気がする。まぁ駄目なものは早く駄目と分かった方がいいけど。
今、自民党が踏んでいるような議論の形成は、寄せ集め集団の民主党では無理だろうと思う。
自民党も民主党も、若手議員は互いに政策を共有できる人達がいるので、そういう政治家が集まれば、もっといい政党が出来そうな気がするけれど、実現は難しいかもしれない。
自民党の若手に頑張って貰うことが、より良い方向に進む道なのか。
by bandoh
政治、社会 : 13:22 : comments (x) : trackback (x)