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2010-04-06 Tue
翌朝、目が覚めるとまだ薄暗い...。
畳の匂いと、木の天井で神宮会館であることを思い出す。
今日の内宮参拝を考えるとワクワクしてきた。
いつもより元気よく起きて準備を整えて、いざ出発しようと靴を履いている最中に母が部屋の扉をノックした。
グッド・タイミングである。
表に出ると、空は青く澄み渡り、薄蒼いピンク色の桜の花が、目に眩しく飛び込んでくる。
まず内宮参拝の前に「猿田彦神社」へお参りにいく。
猿田彦大神は、天照大御神の孫、ニニギ尊(ニニギノミコト)が、神々の国である高天原(たかまがはら)から宮崎県の日向(ひゅうが)の高千穂に向かう際、猿田彦大神がその道案内をしたことから、道や境界を守る神様、方位の神様として信仰を集めるようになったそうだ。
これから何か始めようとするときや、今後の方向性に迷っている人など、ここで参拝すれば道が開けると言われている。
道案内ということで、参拝の前に参っておくとよい神社なのだと思う。
そして、次は皇大神宮別宮の「月讀宮」を参拝
こちらは天照大神、須佐之男命と合わせて三貴神とされる、「月讀尊」をお祀りしてあり、月讀尊は天照大御神の弟神となります。
早朝の参道はすがすがしく、冷たい空気も心地よく感じられます。
原生林のように自然の姿を残して茂る樹木が、キシキシと玉砂利を踏み進む私たちを静かに見守っているように感じるから不思議。
奥に進んでいくと、四宮が並んで南を向いてお祀りされています。
ご兄弟の順に参拝するというY女史に従い、向かって一番左から「伊佐奈弥宮」、「伊佐奈岐宮」、「月讀宮」、「月讀荒御魂宮」の順にお参りをしました。
月讀宮は、月を奉るお宮なのだそうだ。
月は、太陽と地球のバランスを取っていて、月がないと地球は自転が2/3も速くなって大変なことになるらしい。
太陽は男性性、月は女性性をあらわすが、そういう意味では、バランスを取る神様なのです。
2つのお宮を参拝した後は内宮へ。
宇治橋につくと、檜で作られた橋が朝日の中で燦然と輝いています。
五十鈴川の上にかかる、あまりにも美しい宇治橋に感動。
こんなにミニマムに優雅で美しい橋をかつて見たことがあるだろうか...。
宇治橋の中央線はやや高くなっていますが、
冬至の日の太陽は、ちょうどこの中央線の延長線上に昇るそうです。
最初に宇治橋を作った人たちは、すごい。
橋の両端には二つの大鳥居がありますが、これらは内宮、外宮の旧御正殿(きゅうごしょうでん)の棟持柱(むなもちばしら)をリサイクルしたものだそうです。
さらに二十年経つと他の土地の鳥居に、さらにそのあとも他の神社へと、どんどんリサイクルされていくのだそうです。
大鳥居をくぐって、参道を進むと、青く広がる空と満開の桜と松が見えてきます。
南から放射状に走る雲が、「特別参拝」に向かう静粛な気持ちに高揚感をプラスしてくれる。
そう、今日は昨日から申し込んでおいたので、内宮の「御正宮」で一歩内部に入って参拝できることになっている。
第一の鳥居をくぐって参道をしばらく進むと、右手に石畳が広がり、五十鈴川の御手洗場へと下りていけます
更に進むと、参道は深い森に包まれ、静かで神々しい雰囲気に包まれます。
それと同時に空気もヒンヤリとしてきます。
五十鈴川の後は、そのまま表参道に戻り御正宮に向かうルートが一般的なようですが、
「滝祭神」で参拝。
滝祭神は、五十鈴川を守る神様をお祀りしている重要な神社です。
竜神様への参拝の後は、そのまま森の中を進み、しばらく歩くと、新しくかけられた鳥居と橋が見えてきます。
風日祈宮橋(かざひのみのみやばし)の鳥居です。
新しい橋と並んで、古い橋はカバーがかけられていたので、建替え工事をしているのか?
風日祈宮橋を渡ると風の神様の「風日祈宮」です。
風日祈宮には、外宮の「風宮」と同じく、風の神様がお祀りされています。
「風日祈」とは、風雨の災害のないようにとお祈りする神事のことを言うそうです。
内宮の開運の鈴のお守りと、天照大神の御札を受け取った後、神楽殿を左に見ながら進む。
いよいよ、伊勢神宮・内宮 御正宮参拝です。
神楽殿を過ぎたら、表参道を歩き、「御正宮」に向かいます。
三十段あまりの石段の上を見上げると御正宮が見えます。
そして、写真のとおり石段はゆるくカーブしていますが、これは、真正面から神様に近づくのを避けるために、わざと造られているようです。
石段を昇り切ったら、一番外側の「板垣南御門」をくぐります。
太陽の神、天照大御神がお祀りされている伊勢神宮・内宮の「御正殿」は、四重の垣根に囲まれた一番奥にあります。
一般の参拝者は、外玉垣甫御門(とのたまがきみなみごもん)の前までしか入れませんが、
今回は特別参拝を申し込んでいたので、外玉垣甫御門にかかる白絹の御幌の向うの
御垣内(みかきうち)と呼ばれる清浄な神域に入って、特別参拝を行いました。
申し込んだ5人で、御門横の南宿衛屋にいる神職さんに「特別参宮章」を出した後、
まずはコートを脱ぎ、一列に並んで神職さんからお祓いを受けます。
そして、そのまま神職さんに続いて、御垣内の外側の番塀から、御垣内に入って、中重鳥居の前まで進みます。
しかし、御垣内の玉じゃりが、何とも大きなサイズの石で、うっかり踏み損なうとバランスを崩して転びそうな感じで、ややヨロヨロしながら進みます。
こんな神聖な場所でころんで、ずっこけたくない。
私が代表者として、「中重鳥居」の側で参拝させて頂いたのですが、
二拝二拍手一拝の最後の拝が、かなり長かったようで、神職さんがタイミングを合わし損ねていたそう。
はい.....ついついここでもお願いごとを。(知らぬということは恐ろしい)
母から後で「長すぎ」とチクリと言われました。
特別参拝の申し込みの際に、第六十二回神宮式年遷宮への奉賛として、御造営資金をご奉納しました。
御正宮でのお参りを終えたら、伊勢神宮・内宮第一の別宮
「荒祭宮(あらまつりのみや)」へ
ここは、天照大御神(あまてらすおおみかみ)の荒御魂をお祀りしています。
荒御魂(あらみたま)は、昔から困ったことや願い事があると、この別宮に頼ってきたと言います。
新しい仕事に着手するときや、困ったことが起きて先に進めなくなったときなどに、荒祭宮にお参りするとよいとされています。
そして、最後に再び宇治橋へ。
新しい宇治橋を桜の満開の時期に見れるとは、なんと幸運なのか。
もともと桜の季節を狙ったわけでは無かったので、この機会を下さった神様に心より感謝の念が湧いてきてしまった。
「神様、本当にありがとうございます」
母も道々、「桜がホント綺麗だわ~、いい時期にお参りできたわ~」と何度か繰り返し、嬉しそうな様子。
喜んでいるので、宇治橋でのポーズも決まっている?
しかし、この幸運、考えてみたら、
あれこれと人が喜ぶために気を配るF女の日ごろの行いが宜しいのかもしれません。
となると、「ちもちゃん、どうもありがとう!」と再度感謝の言葉を伝えたい。
朝8時頃に参拝を終えた私たちは、そのまま神宮会館に戻り、朝食をしっかりと頂きました。
さて、伊勢神宮参拝の後は、志摩と賢島へ向かいます。
by bandoh
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2010-04-06 Tue
自宅前の桜がようやく満開となった朝早く、伊勢神宮に向けて出発。
写真は無事伊勢につき、外宮の手水舎で心身を清めている母と私たち一行
母から以前より「フミちゃん、連れて行って!」と何度かリクエストのあった"お伊勢参り"の旅である。
私の周りには、ここ数年、伊勢神宮にお参りをしている人が沢山いる。
本格的な人は、滝打たれの行のような禊ぎをしてから、お参りをしている。
うちの旦那さんも、伊勢神宮には仕事の出張も兼ねて、何度かお参りをしている。
戻ってきてから「いや~、良かったよ~」とやや自慢げに語るので、私の中では、"お伊勢参り"は、ミステリアスかつ「絶対に行くべき場所」として刷り込まれてきた。
しかもお参りしてきた人たちの話しを聞くにつけ「それなりに本格的に参らねば....」という思いも強くなっていった。
「本格的に参る」と、
神事にはとんと疎い私が行くと決めたなら、それなりに本格的に参るために、"しかるべき人"に案内をお願いしなくてはならない。
ありがたいことに、近しい人の中に"しかるべき人"がいるものである。
私がソニーミュージックエンタテインメントに営業をしていた15年前頃から、当時は教育の担当者として、今はうちの会社の仕事を手伝って貰ったり、ご飯を一緒に食べる相手として付き合いの長い、しっかりもののF女に案内を願いでた。
F女は、神社と関係のある家系から神事に明るい。
F女は、私が「今度伊勢に行こうと思っているのよ」とつぶやくと、
「大丈夫。バンちゃんが伊勢に行く時には、それなりの人を紹介するから」と頼もしい笑みと共に引き受けてくれた。
あまり多くを語らずとも、本当に親切になんでもかなえてくれるスーパーウーマンである。
おかげさまで、神事に疎くせっかちな娘と、やや天然な母の親子連れは、めでたく旅に向けて出発。
しかし、旅の1日目となる朝、東京駅につくと、強風のため、東海道新幹線の運行が遅れているというアナウンス。
どうなることかと思ったが、数分遅れで無事名古屋駅に到着し、予約していた近鉄特急に無事乗り換えることができた。
危惧していた朝からの雨もあがり、お参りに傘を差す必要もなさそうで、ホっとする。
もっとも、私の心配をよそにF女は朝から余裕たっぷりで、
「大丈夫よ、バンちゃんとの旅で雨にあたったことなんて無いじゃない」と全く心配していないから、この人はすごいと思う。
伊勢駅で、F女が親しいY女史とT女史の二人と落ち合い、まずはY女史が運転する車に5人乗り込み、外宮へと向かう。
Y女史は今は関東に住んでいるが、志摩に長らく住んだことがあり、F女と同じく家系的に神事に明るいし、日本書紀なども勉強していて詳しい。
Y女史は、私の知らない世界を紹介して頂ける、大事な水先案内人兼先生でもある。
外宮の北参道の駐車場につくと、Y女史はなぜか駐車スペースの一角の中にまっすぐ停めず、対角線となるような形で、車を斜めにパークした。
「もしかして、これも何か意味があるのかもしれない」と密かに思ったりしたが、毎回そんな風なので単に停め直すのが面倒らしいと判明した。
Y女史はいたって大らかな性格で優雅な感じがするが、経営者としての貫禄もある。
すごいわ~と関心するだけでなく、この駐車のエピソードによって、Y女史にはすっかり親近感を感じてしまった。
これは、外宮の御池の近くにある超パワースポット、「三つ石」
ここでお参りの前に手を合わせた。
そして、いよいよ神様がいらっしゃる「御正宮」
御正宮は、四重の垣に囲まれている。
一般の人の参拝は、一番外側の御門をくぐり、外側から二番目の御門まで。
その二番目の御門となる「外玉垣南御門」
純白の絹の御幌(みとばり)ごしに参拝します。
次に参拝するのは、風の神様の「風の宮」
鎌倉時代に神様が力をあわせて神風をふかし、モンゴル軍の襲来から日本を守られたといわれています。
次に参拝するのは荒御魂(あらみたま)を祀る「多賀宮(たかのみや)」
多賀宮には、外宮のご祭神、豊受大御神の「荒御魂」をお祀りしています。
個人的なお願いごとは、ここで初めてできるそうです。
そのようなことも知らなかった私は、ずっとお願いごとを重ねていて、本当にお恥ずかしい限りで、日ごろから神頼みしかしていない自分に反省。
荒御魂は、願いごとに対してパワーを与えてくれる神様なのです。
ちなみに、神様の魂には
・穏やかで優しい和御魂(にぎみたま)
・行動的で激しい荒御魂(あらみたま)
があるそうで、外宮では和御魂を「御正宮」に、荒御魂を「多賀宮」に分けてお祀りしているそうです。
次は土地の神様である別宮の「土宮」(つちのみや)に参拝
ここに祀られているのは、土地の守り神の大土乃御祖神(おおつちのみおやのかみ)です。
土地にまつわるようなこと、引越しとか不動産の売買など考えている人は参拝すべき神様です。
外宮の参拝を終えて、この日泊まる「神宮会館」に全員でチェックイン。
神宮会館は、内宮とおかげ横丁のすぐ側にあり、とっても便利な宿泊施設です。
ただし、予約が早くから入ってしまうので、新館に予約を入れたい場合には、早めの予約が必要。
この日は、4日(日)の奉納相撲があるので、神宮会館の入り口に書かれた予約名を見ると、相撲部屋の親方一行も宿泊している。
荷物を預け、母と私はいそいそと「おかげ横丁」へと向かい、
薦められた「赤福本店」でお茶と赤福で一服。
母と二人火鉢にあたりながら、店内に座って見ていると、次から次へと観光客が来ては出て行く。
みな滞在時間が短いので、回転数がすごい。
ふと帰り際に、赤福を作っている現場をみると、
若いお嬢さんたちが、赤福をせっせと作っている。
その手際の良さは、早廻しのビデオを見ているようである。
通りに出ると、赤福を食べたばかりなのに、またまた食欲をそそる、貝が焼ける香ばしい匂いが漂ってくる。
その匂いに釣られて近づいてみると、牡蠣である。
この後、少ししたらフレンチの夕食を食べる予定なので、食べ過ぎてもどうかと...と迷いつつ、
旦那さんから通称"ラッコちゃん"といわれている貝好きの私である、
やっぱり牡蠣も大アサリも食べることに。
神宮会館に戻って一休みした後は、
予約を入れてもらったフレンチ・レストラン、"ヴォン・ヴィヴァン"で夕食
郵便局の古い建物の中にあるレストランで、クラッシックで落ち着いた雰囲気のお店
そういえば、東京にも80年代に"ロアラブッシュ"というフレンチがオープンしたけれど、ちょっと似ている。
母は神都ビール、私はワインで乾杯
アミューズが可愛く、特に松坂牛が美味しい。
かぼちゃのスープ、
前菜の魚介のサラダ、
メインの松坂肉のみすじ肉といちぼ肉を食べた後は、デザート
私はフランボアーズ以外全ての種類をトライ。
本当にちょうど良いボリュームで美味しかった。
夜も更けて、非日常の刺激的な一日が過ぎさろうとしているが、
この夜、私は伊勢に来ているという実感がまだ湧いていない気がした。
多分、あれやこれやと物珍しく、キョロキョロしていたせいで、地に足がついていなかったのかもしれない。
この感覚は、ローマに行ったときにもあった。否、過去の旅行でも初日はいつもそんな感じのように思える。
伊勢参りをした昔の江戸に住む人たちが、遠く長い道のりを、何日も歩いて到着するのと違い、
今日、伊勢参りをする私たちは、東京からほんの数時間もかければ、すぐに伊勢についてしまう。
物理的に長い距離を移動してきたわりには、鉄道や飛行機という便利な交通機関があるせいで、早く現地についてしまい、頭では遠くにきていると理解していても、体の細胞は遠くに来たということを認識できないでいるのかもしれない。
ともかく、神々の御霊が鎮座している伊勢の地と空気に早く溶け込もうと、神宮会館の布団の中でスっと目を閉じた。
明日は、早朝6時30分に出発である。
by bandoh
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