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困ったチャンと出会ったら

もし、会社でとんでもない上司の下で働くことになったら、あなたはどう思うか?
「なんで自分が...最悪、悪い夢だと思いたい。」とショックを受けるかもしれない。
嫌な上司とぶつかって、会社を辞める人も少なくない。

しかし、世の中、片方だけが苦しんでいるわけでもない。
上司の方でも、"困ったちゃん"の部下を持って、悩み苦しんでいる人たちがいる。

かつてコーチングをしていたある男性管理職は、自分より年上の男性部下を持ち、鬱々としていた。
その男性部下は、対人関係に問題があるためか、様々な部署を転々としていた。
部下はプライドが高いため、仕事で失敗しても、なかなかストレートに指摘できない。しかも、チームメンバーの女性達からも、"あの人、何とかして下さい。耐えられません。"と突き上げを受け、私がコーチングを担当する時には、男性管理職はストレスから産業医のカウンセリングを受けていた。

また、ある女性管理職は、自分と同期入社の女性部下の対応に四苦八苦していた。
女性部下は、職位と求められる役割に応じた業務レベルをこなせない。そして話し合っても、こなせていないことに自覚がない。ついには、相手がすっかり殻を閉じてしまって、決して本音を言わないし、話すこと事態にストレスを感じていて、自分を避けている。
周りの男性部下達からは、"僕達、あの人の物言いが怖いんですよ..このままでは、派遣社員がまた辞めてしまいます。○○さん、何とかして下さい。"と、切実に訴えられていた。

私がコーチングを引き受けて話しを聞いたときに、両者とも、何とか相手と信頼関係を築き、問題行動を改善をしようと試みて、誕生日にプレゼントを贈ったり、聞きたくも無い相手の話しに耳を傾けたりと、必死に努力をしていた。
がしかし、信頼関係は構築できないし、成果は現れてこないようだった。

しょぼんしょぼんしょぼんしょぼんしょぼん

こういった"困ったチャン"の部下を持った管理職の特徴として、根が真面目で努力家タイプが多い。また、自分自身、仕事がよく出来る人たちで周りから期待されている人である。

だからこそ、必死に頑張るし、自分と自分のチームの目標を、何とか達成したいと心から望んでいる。

私はコーチングの際、こういったケースの場合には、まずクライアント自身を本人の中心線に戻すことを心がける。
つまり、そういう状況に置かれると、こういった管理職の方々は、自分でも知らないうちに部下にすっかり支配され、振り回されているケースが多い。自分の"幸福感"が、部下によって左右されているのだ。だから終いには"困ったチャン"部下の顔を見るのも嫌になってくる。

こういう周囲にネガティブなエネルギーを振りまく"困ったちゃん"の場合、自分自身は決して仕事が出来ないとは思っていないケースが多い。
かつてはボス的な管理職としてバリバリ働いていたり、チームを仕切ってチャキチャキ采配していたり、厳しい親のもと学生時代から勉強ができる「優等生」として評価を受けていたりなど、過去の栄光がある。
だからこそ、今自分が評価されていないことは、"決して受け入れらない"のだ。
そんな空気を感じとったら、堅固なバリケードを自分の周りに築き、自分を認めない人間に対しては自分なりの方法で戦う。
間違いを指摘されたら「自分のせいじゃない。」と反論する、また相手にきつい物言いをすることによって、相手からバカにされないよう自分を守り戦うのだ。
困ったチャンの内面の世界観では、対人関係は「食うか、食われるか」もしくは「勝つか負けるか」なのかもしれない。

"困ったチャン"のネガティブ・パワーが周囲に与える影響は絶大である。
上司のみならず、周りもウンザリしていることが多い。

しかし"困ったチャン"自身は、自分の行動によって周りから疎まれたとしても、その行動を止めない。
それは「負けるのが怖い」からであろう。
だから決して周りの評価を受け入れない。
表面の態度とは裏腹に、困ったチャンはとても怖がりの人たちだったりするのかもしれない。


ねこねこねこねこねこ

困ったチャン部下を持つ悩める上司の方々に「中心線」に戻って貰うために、薦めていることがある。
それは、困ったチャン部下にすっかり占拠されているイライラ状態から抜け出して貰うことだ。

まずは、感情的な部分で距離を置いてもらう。
パワフルな困ったチャン部下の場合、上記のとおり自分を認めない人に対しては敏感である。自分を認めていないと感じるやいなやバリケードを張り巡らす。評価していないことを言葉にしなくても、表情や物言いで敏感に察するのである。
また、バリケードは上司に権威がない場合(年齢が近い、年下など)、更に厚くなる。

相手と距離を置いて貰ったら、上手く行っている部下やメンバーと、今後どうして行くかにフォーカスをあてて貰う。
人はポジティブな面にフォーカスを当てるとエネルギーが沸いてくる。

そして、自分自身をニュートラルな位置に戻し、一旦、困ったチャンへの"必死の思い"や関係をリセットしていく。
困ったチャンによって気分を左右される日常からの脱却である。
それは、自分自身を取り戻すことでもある。

一旦、相手と距離を置き、ニュートラルに関わり始めると、困ったチャンのことが冷静に見えてくる。
また困ったチャンの反応も変わり始めるから不思議だ。
上司のストレスが無くなったり、自分を変えようとするエネルギーが下がると、部下は敏感にそれを察するのだと思う。

このことは、部下を見放して匙を投げることとは違う。
絡まった糸を、ゆるめて解きほぐすのと似ていると私は思う。

部下へのコーチングは、部下より先に"自分の正しさ"を、手放してみることが大事なのだと思う。
そうでなければ、深い部分で、部下と勝ち負けの戦をすることになる。


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