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2009-06-08 Mon
このままずっと旋回し続けるのだろうか?
ユナイテッド航空の7866便に乗った私は、やや不安な気持ちで、JFK空港の上空辺りを着陸許可を待ってグルグル旋回している飛行機の窓から雲を見下ろしていた。
うちの旦那さんは、隣のシートでぐっすり眠っている。
今日はNYに到着する日、しかも今晩は旦那さんのたっての希望で、新しいヤンキース・スタジアムで、ヤンキース対タンパ・ベイ・レイズの試合を観る予定である。
大の松井ファンの彼は、"新球場"と"松井のプレー"を、何としても見たいのだ。
しかしながら、私達がNYに滞在する日のうち、ヤンキースで試合があるのは今日だけ、後は全てアウェイである。
もし今日の試合を見逃すと、あとは観ることができない。
飛行機の到着時刻は、当初午後6時30分予定だった。
そして、試合の開始は午後7時05分から。
しかし、既にJFKの上空を旋回している時、時計は午後7時15分を越えている。
既に試合は始まっている....。
呑気に寝ている旦那さんを横目に、一人ハラハラしながら着陸を待っていると、ようやく機長からランディングのアナウンスが流れ、飛行機は約1時間遅れで空港に到着した。(あ~、もう)
JFK空港には、既に"車"を手配済である。
バッゲージ・クレームを出た辺りで、私達を待っているはず。
荷物が出てくるまでの間、旦那さんを残して私は出口へと急ぐ、ドライバーを確認するためだ。
いたいた、とっても大きなドライバーさんである。100キロは超えているだろう。
「あなたがミセズ・バンドー?やっと来たの。俺、ここで1時間以上も待ってたんだよ~。どうするの?ホテル行くの?スタジアムへ行くの?」
時計を見るとすでに7時40分を過ぎている。
「先にスタジアムへ行って。7回のイニングまでに間に合うかどうか心配だけど、とにかく行くわ。」
*7回までに行かないと球場には入れない。
ドライバーと道路の混み状況や、まだ私達が荷物を受け取っていない状況などの話しをした後、再び荷物を待っている旦那さんのもとに、走って戻る。
すると、バッグ取り出しの回転台の上には乗客の荷物が見当たらず、今まで荷物を待って周りにいた乗客は誰もいない。
フロアに幾つかのバッグが残されたまま、人がいないのである。
そして、旦那さんがポツンと一人で所在なさげに立っている。
まずい.... とっさに嫌な予感が走った。
案の定、私達の荷物は「紛失」したようだ。
実は嫌な予感がしていたのだ、、。出発前に紛失する予感が走り、用心深くなった私は、思わずユナイテッドに問い合わせ、ワシントン・ダレス空港からの乗継ぎの際の紛失率と、ついでに遅延率も確認していた。
答えは、「大丈夫です。殆どそんなことはありません。」と、やや冷ややかな声で対応する女性オペレーター。
そのときにも嫌な予感が走った。(大体ユナイテッドの女性オペレーターって怖い感じの人が多い。)
そして気を取り直しつつ、空港内のユナイテッドのオフィスに行くと、近くの座席にいた見覚えのある乗客が何名かいて、紛失届けの手続きを取っている。
私達も手続きのため、彼らの後ろに並ぶことにした。
こういうとき、アメリカ人って紛失など慣れたもんなのだろう、だ~れも文句一つ言わず黙々と手続きをしている。
ユナイテッドの係り員だって、丁寧に対応こそすれ、絶対にお詫びなんかしない。
まぁ、工事にしろ修理にしろ、何事もきちんと約束通りになされることが少ないアメリカでは、日本ほど人がうるさくないのだとろう思う。
ホテル滞在中のクレームだって、日本人の方がずっと細かくて多いらしい。
しかもその場で言わず(言えないのか)、後でJTBのデスクか何かを通してクレームを言うらしいので、ホテルもその場で対処のしようがないと聞いたことがある。
日本の質が向上された過剰なサービスにすっかり慣れきった私達には、特に欧米系の海外のホテルは一流であっても、エっと驚くことがある。まぁ比較論となるが、日本人はせっかちでいちいち細かいのだろう。
ようやく順番が来たカウンターで、
「今晩私達のバッグは出てくるのかしら?」と私
「今晩出てきますよ。午後10時のフライトでNYに運ばれてきますから。」と係員。
ほんまかいな...
今晩ホテルに届けてくれる予定というが、かつての経験からあてにはならないと疑心暗鬼になる。
旦那さんは、バッグの紛失は初めての体験のようで、不安そうにしている。
手続きが終わると、すでに時計は午後8時を指している。
旦那さん、私、ドライバーの3人は、オフィスを出て、駐車場へと急ぐ。
駐車場へ着くと、
出た~、長い長い黒のストレッチ・リムジンが黒光りして留まっている。
リムジンだとは思っていたが、まさかこんなに長いものだったとは。
ドライバーは、高速道路に乗ると、ものすごいスピードで飛ばして、ブロンクスにあるスタジアムへ向かってくれる。
幸いにも道はそんなに混んでいない。
ラジオをつけると、ゲームは3回のイニングの途中で"3対3"である。
松井が出ているかは分からないが、何とか7回には間に合いそうだ。
脇の車をヒョイヒョイ抜けながら、20分くらいでスタジアムに到着した。
新スタジアムは、旧スタジアムに隣接している。
スタジアムの裏側に回ると、沢山のアパートメントが立ち並んでいる。
「この辺りの住人は、ヤンキースファンで越してきた連中なんだよ。皆プエルトリカンだけどね、アハハ」と笑って説明するドライバー。ドライバーも一見したところ、ヒスパニック系だが、メキシコよりなのかもしれない。
観戦後の待ち合わせのため、ドライバーと急いで携帯電話の番号を交換しあうと、私達は急いでスタジアムに入る。
4月にオープンしたばかりの真新しい球場の中は、野球ファンの熱気で溢れている。
立ち見が出来る通路にも、もっぱらヤンキースファンが楽しそうにワイワイと観戦している。
立見席からでも、ものすごく近い、よく見える!
それもそのはず、立見席も球場に近い階層にあり、しかもフェンスがとっても低い。
昔神宮球場のフェンスの低さに驚いたが、本当にヒョイと乗り越えられる高さだ。
芝もとっても綺麗。
私達が到着したときは、4回の裏、ヤンキースの打線である。
ちょうど、松井が打席に立っている。
この打席でフォアボールとなった松井は出塁したが、続く打席がセカンドゴロでゲッツー。
再び6回のイニングで打席に立つ松井。
残念ながら、内野ゴロで1塁アウト
打撃の交替時には、グランドの軽い清掃が入るが、YMCAなど楽しげな音楽が流れてくる。
それに合わせて、みなノリノリで踊る観客。
清掃員だって、音楽に合わせて動き出す。
私達も疲れもどこへやら、ヤンキース・ファンに混ざって応援し、YMCAも踊り一緒に楽しいノリを共有させて貰った。
ついでにスタジアムの中を探訪すると、選手のサイン入りのバットやボールなどを展示しているミュージアムや、グッズショップなどがある。グッズショップで、光物好きの私は、祈念にラメ入りのキラキラしたヤンキースのキャップを購入。
その後ショップでホットドッグを買って、二人でほおばりながら、再び応援。
ヤンキース打線は、その後6回と8回に、レッドソックスから移籍したSwisherとJeterがそれぞれホームランを打ち、5対3とリードし、そのまま勝利した。
私達は球場出口の混雑を避けて、少し早めに出口へ向かいながら、ドライバーに連絡を入れる。
出口のゲートを抜けて、待合せた場所へと進むと、「車」が見えてきた。
「祈念にストレッチ・リモー1枚撮ろう!」と思い立ち、
離れた高い道路脇からデジカメでパシャリとやっていると、
目ざとく見つけたドライバーが大きく手を振りながら、
「ハニー!ヘイ、クモォーン!急いで、急いで」と声をかける。
近づいてみると、警官が側にて、危うくチケットをきられるところ。
あぶない、あぶない。
試合の興奮も冷めやらぬまま、すぐに車に乗り込み、車ごと夜の帳に吸い込まれる私達。
混雑を避けて、ハイウェイを使わなかったため、アムステルダム・アヴェニューから、マンハッタンのまだ開発されていない"アップタウン"を抜けてホテルへと向かう。
何だか、綱渡りのような1日だったが、何とか新スタジアムでヤンキース戦を堪能。
"あ~良かった"と車の中でしみじみと思い、忙しかった1日を振返った。
by bandoh
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