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江戸の文化 浮世絵はポップでサイケな芸術

私は親元を離れて独立して以来、あまりTVを見ない人だった。
時間のあるときにちょっとスポーツやバラエティ番組を見たり、
外から帰ってきて、夜のニュース番組をチェックするくらいなものである。

がしかし、、、ケーブルの契約をして以来、TVにはまっている。

海外の番組も面白いのだが、
特に「NHK」のBSチャンネルとかハイビジョン番組にはまっている。
NHKの特集番組とか取材番組はいい。オッケー
きっちり取材していて、観ていて面白くて引き込まれる。
(予算と人材が豊富なんでしょうねぇ)

契約したデジタルTVのハードディスクの録画機能がメチャクチャ簡単なので、おそらく拍車をかけていると思う。

そのうち、最近観た番組の中の一つをご紹介したい。

ハイビジョン特集「幻の色 よみがえる浮世絵

一昨年、富山県の旧家から見つかった、江戸時代の大量の浮世絵の「版木」をもとに、江戸時代に摺られた当時の浮世絵の色を再現するまでを追った特集である。

見つかったのは、江戸時代後期の浮世絵の絵師、「歌川国芳」のものである。

国芳は、当時の幕府の政治を「風刺画」などで描いているが、大胆な構図や奇想天外な浮世絵で「幕末の奇想の絵師」として、20世紀後半になってから再評価されている。

国芳の再現された浮世絵と、浮世絵が当時の手法で完成されるまでのプロセスを見ていたく感動した。

浮世絵は、「絵師」、「彫り師」、「摺り師」によって生み出される芸術で、チームで行う仕事である。(まさにプロダクション)

「絵師」が書いた絵を、「彫り師」が桜の木の「版木」を使って彫り上げるのだが、その仕事が細かい。
歌舞伎役者などの髪の毛を、よりリアルに見せるために、生え際の毛を細かく細かく掘っていく。
なんと、当時の彫り師は「1mmの間に5本の髪の毛を彫るのである。」つまり、「1mmの間に8回も、刀を入れることになります。」
本当に途方もない技術で、江戸時代の職人のこだわりと、技術の高さに驚いてしまう。

現代までの時の流れの中で、人が生み出す技術やテクノロジーは飛躍的に伸びてきていると思うが、当時の職人達が持つ「職人技」に、かなわない技術があるのだと改めて知る。

色についても、重ねて摺ることにより、少ない色から多くの色を絶妙に表現している。
ぼかしたり、濃くしたり、インパクトを出すために、あえて他の色を薄め、1色だけを強調したりなど、絵師からの短い暗号のようなキーワードの指示が、版木に筆で書かれているのだが、そのニュアンスを嗅ぎ取り、絶妙の色を出すのは「摺り師」の仕事である。

絵師、彫師、摺り師で成り立つ1つのプロダクション・チームに、共有される「あうんの呼吸」があるのと、数多く生み出される作品の中で、競い合うように磨かれる技とセンスなのだと思う。

何せ、当時の「浮世絵」1枚の値段は、「1杯のお蕎麦」よりも安かったそうなのだから、数多く作成する必要もあったと思う。

しかし、「多色摺りの版画」という手法によって、美しい「浮世絵」が大量生産できたがゆえに1枚の価格が安くなり、江戸の大衆の生活の中に、芸術を日常に楽しむ習慣が広がったことを考えれば、その意味合いは大きいと感じる。

今回発見された版木によって、明治以降に失われた浮世絵の技術が検証されつつあり、番組は江戸時代の技術そのものを使って、浮世絵を再現するまでを追ったのだが、その浮世絵の色の違いをご覧下さい。

ゴッホや多くの芸術家が「浮世絵」に魅了されたのは、その構図だけではなく、大胆な色使いにあったのだと思いました。

再現された浮世絵には、150年前のアートとはとても思えない、「ポップアート」といってもおかしくないパワーと現代性を持っています。

この浮世絵は、現存するもの


こちらは当時の色を再現したもの


現存するもの


再現したもの


ヨーロッパで、当時、日本の焼き物を買って、梱包されている包み紙(浮世絵)を見た人は驚いたと思います。
多分、中味以上に包み紙の浮世絵を見て、「何、これ!!ぎょ」という感じじゃないでしょうか。

退色してしまった版画の色も、それはそれで趣きがあって美しいと思いますが、

江戸の町中は、きっとものすごくカラフルで、派手なお着物で目立とうとしていた町民が沢山いたんじゃないでしょうか。
すごくパワフルで活気のある町だったと思います。

あ~、タイムマシンがあれば行って見てみたい。


徒然なるままに : 16:30 : comments (x) : trackback (x)
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